猩々通信
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Gotcha 3

2004 by 猩々

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思い出を
募らせ一人
辿る道
馬頭観音
夏草の中

明けたよ未だよ
分からぬ侭よ
梅雨も弾けよ
花火だよ

ベランダの
烏之胡麻は
葉を閉じて
我待ち侘びぬ
君を欲する

くぐもった
団扇太鼓の
列が行く
並木の道は
蒸し風呂の朝

梅雨も明け
橋の袂の
茄子の馬
槿の花の
川風涼し

飛び乗った
通勤電車の
兜虫
一時の涼
美女の手の中

靴紐を
締める路傍の
杭の陰
蝉の抜け殻
梅雨明けの朝

プランタの
茗荷の花は
小さくて
尺取虫に
守られていた

架線事故
人身事故に
信号機
煉瓦色した
呪いの電車

一本目
二本三本
四本目
今日は順調
エコロジマシン

鵯の
水浴び急かす
俄雨
南の空に
稲妻走る

レスポンス
またレスポンス
レスポンス
自動応答
スパムの香り

ビルの空
お稲荷さんの
お祭り日
せめて一雨
この真夏日の

山姥の
お道化て結ぶ
短冊の
たわわに実る
七夕の駅

悠然と
人押し除ける
日傘など
要らぬ面持ち
オバタリンのは

真夏日の
夜に甘えた
君だけど
見知らぬ人に
抱かれていたね

読み耽る
通勤電車
Eメール
試験の事や
彼氏の事や

夏の夜の
淡雪の花
蕎麦の花
真丸月夜
君の尾妖し

音も無く
蒸篭を啜る
美女がいて
咽た山葵を
持ち帰る吾

捻花と
四季成苺に
蜘蛛の糸
訝傾気見る
君の細い眼

身も凍る
通勤電車を
降り立てば
其処は揺らめく
炎天の街

囚われの
蝿取蜘蛛を
手水場の
窓開け放ち
用を足す吾

馬鹿女
ゴキ一匹に
大騒ぎ
夜の静寂を
破る雄叫び

雷に
慌てて起きる
寝坊助の
乾く間も無し
夜の干し物

夕涼み
誰も知らない
Tバック
良くぞ男に
生まれしことよ

梅雨の空
森の空地で
日もすがら
アンとミッシェル
なになに話す

夏草は
刈られ芝地の
咽ぶ朝
耕し歩く
椋鳥の群

鶯の
声に剃刀
冴え渡る
遠出を決めた
梅雨の日の朝

怪談は
見て見ぬ振りの
スカートと
急き立てて来る
ミュールの響き

給料日
デンと鮪の
活け作り
心算で並ぶ
蒟蒻刺身

立ち消えた
蚊取り線香
熱帯夜
草茫々の
プランタポット

戻り梅雨
僕はキッチン
ドリンカー
糠の按配
蕎麦の按配

照り付ける
朝日に燃える
並木道
嵐の土産
地衣は転げる

短夜に
台風の風
吹き荒れる
寄せて固める
ベランダの鉢

帰り道
並木の道の
枯れ枝は
只轟々と
風のさんざめ

台風は
日長の夕に
迫りくる
後ろ髪引く
立ち食いの蕎麦

冬の毛を
手櫛で掬う
喉鼓
夏至の嵐の
街角の君

武蔵野に
嵐の雲は
垂れ込めて
警告灯の
流れ行く窓

一輪の
野の花の咲く
流し場の
外は嵐の
押し寄せる風

捩摺は
捻れて梅雨の
中休み
白頭鳥騒ぐ
青空の朝

真夜中の
驚きの客
雨蛙
あの鳴き声の
主はお前か

台風の
篠突く雨の
ベランダに
白竜丸の
花開く夜

船長と
呼べと自ら
言ってます
皮肉たっぷり
JFAの船員

玉抱き
軒より下る
糸の蜘蛛
狐雨降る
ビルの谷間に

友輩へ
メールマガジン
夏草の
小さな庭の
小さな便り

生協の
米をリュックに
買出し日
妻のカードを
使い続ける

清掃の
分担決める
阿弥陀籤
見事若手に
便所が当たり

訂正の
シールを貼って
送る本
昼は鮭弁
通草の木陰

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