思い出を 募らせ一人 辿る道 馬頭観音 夏草の中 明けたよ未だよ 分からぬ侭よ 梅雨も弾けよ 花火だよ ベランダの 烏之胡麻は 葉を閉じて 我待ち侘びぬ 君を欲する くぐもった 団扇太鼓の 列が行く 並木の道は 蒸し風呂の朝 梅雨も明け 橋の袂の 茄子の馬 槿の花の 川風涼し 飛び乗った 通勤電車の 兜虫 一時の涼 美女の手の中 靴紐を 締める路傍の 杭の陰 蝉の抜け殻 梅雨明けの朝 プランタの 茗荷の花は 小さくて 尺取虫に 守られていた 架線事故 人身事故に 信号機 煉瓦色した 呪いの電車 一本目 二本三本 四本目 今日は順調 エコロジマシン 鵯の 水浴び急かす 俄雨 南の空に 稲妻走る レスポンス またレスポンス レスポンス 自動応答 スパムの香り ビルの空 お稲荷さんの お祭り日 せめて一雨 この真夏日の 山姥の お道化て結ぶ 短冊の たわわに実る 七夕の駅 悠然と 人押し除ける 日傘など 要らぬ面持ち オバタリンのは 真夏日の 夜に甘えた 君だけど 見知らぬ人に 抱かれていたね 読み耽る 通勤電車 Eメール 試験の事や 彼氏の事や 夏の夜の 淡雪の花 蕎麦の花 真丸月夜 君の尾妖し 音も無く 蒸篭を啜る 美女がいて 咽た山葵を 持ち帰る吾 捻花と 四季成苺に 蜘蛛の糸 訝傾気見る 君の細い眼 身も凍る 通勤電車を 降り立てば 其処は揺らめく 炎天の街 囚われの 蝿取蜘蛛を 手水場の 窓開け放ち 用を足す吾 馬鹿女 ゴキ一匹に 大騒ぎ 夜の静寂を 破る雄叫び 雷に 慌てて起きる 寝坊助の 乾く間も無し 夜の干し物 夕涼み 誰も知らない Tバック 良くぞ男に 生まれしことよ 梅雨の空 森の空地で 日もすがら アンとミッシェル なになに話す 夏草は 刈られ芝地の 咽ぶ朝 耕し歩く 椋鳥の群 鶯の 声に剃刀 冴え渡る 遠出を決めた 梅雨の日の朝 怪談は 見て見ぬ振りの スカートと 急き立てて来る ミュールの響き 給料日 デンと鮪の 活け作り 心算で並ぶ 蒟蒻刺身 立ち消えた 蚊取り線香 熱帯夜 草茫々の プランタポット 戻り梅雨 僕はキッチン ドリンカー 糠の按配 蕎麦の按配 照り付ける 朝日に燃える 並木道 嵐の土産 地衣は転げる 短夜に 台風の風 吹き荒れる 寄せて固める ベランダの鉢 帰り道 並木の道の 枯れ枝は 只轟々と 風のさんざめ 台風は 日長の夕に 迫りくる 後ろ髪引く 立ち食いの蕎麦 冬の毛を 手櫛で掬う 喉鼓 夏至の嵐の 街角の君 武蔵野に 嵐の雲は 垂れ込めて 警告灯の 流れ行く窓 一輪の 野の花の咲く 流し場の 外は嵐の 押し寄せる風 捩摺は 捻れて梅雨の 中休み 白頭鳥騒ぐ 青空の朝 真夜中の 驚きの客 雨蛙 あの鳴き声の 主はお前か 台風の 篠突く雨の ベランダに 白竜丸の 花開く夜 船長と 呼べと自ら 言ってます 皮肉たっぷり JFAの船員 玉抱き 軒より下る 糸の蜘蛛 狐雨降る ビルの谷間に 友輩へ メールマガジン 夏草の 小さな庭の 小さな便り 生協の 米をリュックに 買出し日 妻のカードを 使い続ける 清掃の 分担決める 阿弥陀籤 見事若手に 便所が当たり 訂正の シールを貼って 送る本 昼は鮭弁 通草の木陰 |