猩々通信
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Gotcha 6

2004 by 猩々

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銀世界
二年詣での
声も無く
唯鐘の音の
歳も暮れ行く

夏は蕎麦
冬は土鍋の
侘住い
兎の小屋の
歳も暮れ行く

年の瀬の
街に牡丹の
雪が降る
並木に翳む
三角の駅

新装の
蕎麦屋に集う
年忘れ
TV見ていた
黒虎何処

ぽつねんと
しょぼくれた柚子
冬至る
値引き刺身に
大いに迷う

古書店を
巡る師走に
何時の日か
眺めるだけの
吾に出会った

気が付けば
君が見ていた
欄干で
冬の日差しに
眼を細めつつ

糞紙と
鼻紙買って
年の瀬の
便所の掃除
誰がやるんだ

百円ショップで
迷いに迷う
貧乏人の
年の暮れ

検診の
紙が告げてる
気の緩み
本当は喰いたい
クリスマスケーキ

寒空や
手袋で打つ
キーボード
ヒエッ!プロットも
凍りつきそう

総毛立ち
息吹掛け合う
恋敵
引くに引けない
意地の張り合い

吽像の
デンと睨んだ
新サイト
ゴメン管理の
諸元忘れた

寝惚け咲く
梅の薫りや
年の瀬の
財布も軽く
艾人は行く

アドカレに
ボクシデーを
付け加え
自ら課した
お題重たし

控除する
扶養家族は
白い儘
自腹で払う
生保空しく

年配の
相撲選手の
手に賜杯
牛蒡は煮えた
寒い日曜

年の瀬の
田舎の街は
クリスマス
電飾纏う
並木恐ろし

魯迅読む
川には鴨の
青い首
ぶつかりそうな
美女が微笑む

飛行士は
幸運だったと
言い残し
僕は見上げる
オリオンの空

伸し歩く
君の鍵の尾
右左
燕麦揺れる
朝のベランダ

出っ腹が
次第次第に
迫り来る
朝の電車で
じっと手を見る

駅前は
はやクリスマス
電飾の
リースにツリー
木枯らしの中

コート着て
手袋嵌めて
マフラーし
傘を忘れた
暖かな雨

トナカイは
首を傾げて
凍りつく
落ち葉の朝の
オブジェ輝く

ガスの火の
スナップドラゴン
百円の
土鍋で煮える
鱈の身白し

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