とぼとぼと 一人山道初日の出 遠くに猿の 友を呼ぶ声 城山の 初日に咲いた シモバシラ 笹尾根道に 猿は戯る 尾根道に 初日に咲いた 立氷花 高尾回峰 望む白富士 山姿 裏より下る 初詣 無礼を詫びて 弾む賽銭 元旦の お山に勇姿 救助隊 吉凶占い フラッシュの嵐 見晴らしに たわわに実る 夏蜜柑 ツインタワーに 初春の光 空炊きの 鍋に出動 消防車 天井凧の へ張り付く空 子供等の 天井凧は いとおかし 上がりっぱなしで 後落ちるだけ 二昔 お正月の ベランダは 満艦飾の お襁褓だったね 寄贈本 挟まる蝶の メッセージ 今羽ばたいて 我が胸にあり 古書肆の 棚に並んだ ジャンル本 私の本も こう願いたい 残す本 君に上げるよ 宜しくね。 反古になったら 倍返しだよ。 読み返す 本の中身に 覚えなし 蔵書の印が 時を刻んで 本読みの 印の付いた 古書があり 出戻り願い 白印を記す 門松の 少ない街の 寂しさに 遠回りする 不況の年明け 臍繰りは 本に埋もれて 迷子なり 忘れてしまった 秘密の言葉 版元を 替えた本を また買った 蔵書データー なかなか進まず すずかけの 葉に打ち懸かる 牡丹雪 心踊らす 週末の山 小雨降る 街灯点る 冬の朝 不況晴れよと 鵯の鳴く 寝ぼけ目で 駅へと向かう 霜の朝 一直線に 点る街灯 冬の朝 大学通りは 霧の中 次々行き交う 影は大きく 一億の 値を付けし ヤフー株 ネットバブルの 始めになるかも 幾万の 人を道連れ 朝の事故 残り頁の 少ない文庫 霙降る モスバーガーの 窓の外 コロッケフォカッチャ 空いた店内 土瓶より 黒茶を飲めば 幼き日 隣家の美代ちゃん 思い出す冬 大切な 言葉忘れて 幾日か 白山通りに 細雪降る 久方の 古書肆巡りに 目が眩む 高根の花の 春の始まり 一人減り 夜の巷の 二人減り 散歩する人 三人減って 春立ちぬ 三寒四温の 初っ端は 夜来の吹雪 薄化粧の朝 団栗の トトロいっぱい ディスプレイ 草餅並ぶ 和菓子屋の春 ピピと鳴る デジカメの音 演奏会 録音中なり フラッシュの嵐 仮装して 春のお別れ 演奏会 被付にて 写真撮る親 干涸びて 山の獣の 糞黒く 十三州は 寒風の中 久方の 山行に見る 富士の山 何処に或りや 立氷の花は 山里に 梅綻で 建国日 古い山道 ?鳥の鳴く 冬枯れの 山に鷽鳥 フィーと鳴く とぼとぼ登る 古い山道 頂上の 御神酒がやっと 利いてきて ふらふら下る 木枯らしの尾根 バリカンの 音も軽やか 春の日の ベランダに芽吹く 山の球根 春うらら 三連休の 高尾山 人影疎ら こんな日もある 谷保の駅 緋寒桜に 鵯の 番い戯る 山行の朝 バサバサと 頭の上の新聞紙 他人の迷惑 何処吹く風で 手袋の 缶コーヒーを 頬に当て 三寒四温 適材適所 通勤の 乗換駅に 冬戻る トイレの側の 立食の蕎麦 外人は 食い入る様に 漫画読む ニタリと笑う 薄気味悪さ 差し込めば 不足の表示 バスカード 財布の中は 一円五円 女装した 女男の 手のでかさ 眼と眼が合って 寝た振りをする 乗り換えの 駅でまごつき 乗り遅れ 何年たっても 田舎者の吾 |