猩々通信
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回峰新世紀2

2001 by 猩々

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高柄の
山に啼く鳥
月日星
汗でずぶ濡れ
天然クーラー

迷い出た
洗濯岩の
滝の口
ロープで下る
栃穴の谷

猪を
語る農夫の
藁帽子
迷子の我等
顔を見合わす

野宿覚悟と
帰りに聞いた
合歓の花咲く
桂川

台風を
TVは報ず
秋の朝
無数に空いた
蝉の出た穴

売れ残る
五割引なる
アロハシャツ
脚を引きずる
スーパー巡り

蟋蟀が
ベランダで鳴く
盆休み
山の支度に
汗濁の夜

イソゲホラ
イソゲホラホラ
発車の調べ
冷やし狸も
味わえぬ朝

縁の下
篭の虫鳴く
残暑かな
ガードの下で
寝起きする人

夕暮れて
青松虫と
蝉の声
嵐の雨の
大学通り

嵐来る
何故か懐かし
秋の朝
路地の雨風
コーヒーショップ

見上げれば
八日の月頃
新眼鏡
大学通り
青某の鳴く

夏草を
鎌で払って
進む道
ケーブルカーの
発車のベルが

踏ん切りを
付けて高尾に
いざ行かん
支度そこそこ
晴天の朝

納涼の
歌声高く
日影沢
山岳会の
宴もたけなわ

集く蟋蟀
寝茣蓙で聞いて
長袖寝巻
着込む夜

回峰の
終わりは何時も
観光地
山も楽しい
人も恋しい

鶴穂咲く
鉢のベランダ
草だらけ
空は鈍より
山行の朝

鎌を研ぐ
剃刀を研ぐ
ナイフ研ぐ
うって変わって
俄雨の日

日曜の
朝のパズルの
新聞紙
ひねくれ題に
トイレでいきむ

一つ二つと
衣紋を掛て
愛の五線譜
女郎蜘蛛

蜘蛛蠍
座頭虫との
図鑑有り
眼鏡外して
脚を数える

飼い主は
チビ放浪で
ミー迷子
虫の草叢
福島訛り

あてどなく
山に入れば
小雨降る
玉紫陽花を
辿る山道

廃道の
行く先々に
女郎蜘蛛
蜘蛛合戦の
思い巡らす

蜜蜂が
営巣してると
山道の
知らせの脇の
紫陽花の花

風雨が
止んで蟋蟀
集く夜
不気味なまでの
街の静けさ

カポックの
天然如雨露ば
給いしに
嵐の風おば
吹き飛ばしおる

概要が
決まりサイトを
開く朝
西風強く
台風迫る

タクワンと
大書の札
店先に
家栗竝ぶ
山には通草

熊野社の
判じ灯篭
天気雨
一升寄進の
半紙は濡れる

宵宮の
知らせの花火
秋の空
モンゴル力士
活躍の頃

山栗の
富士見の沢の
四阿に
ラーメンを煮る
ストーブの音

唯靜か
滝の音だけ
山の秋
着替え着尽し
下る山道

田の畦を
炎で繋ぐ
曼珠沙華
リタイヤの山
小綬鶏誘う

公園に
枯葉舞散る
昼下がり
ノースリーブの
日傘さす女

擦傷が
癒えてガレ場を
思い出す
転がり落ちた
蝉の鳴く山

捏ね廻し
文字のパズルは
元の侭
静寂破る
蟋蟀の声

椋鳥が
たわわに実る
竹林
白粉花を
聞いた夕暮れ

行き摩りの
男二人が
屈み込む
水晶蘭に
夕闇迫る

山道に
通草を拾う
三つ四つ
Cのポストの
雉の鳴き声

中日の
車窓に臨む
白い富士
秋津飛び交う
晴天の朝

萩餅と
花束を売る
山の駅
部活の女生徒
バスを待つ列

夕闇に
担ぎ万度
練り歩く
エイサホイサと
谷保の天神

裏日れた
軒に四阿
黄金蜘蛛
ラーメンを煮る
吾また一人

股広げ
漫画に更ける
女子校生
外は秋霖
ドトールの朝

雨具減り
軽めのリュック
駅の蕎麦
臨時列車に
残すコロッケ

沢沿いの
ベンチで老女
指数え
睨む虚空の
秋色深し

萩の咲く
頂の鳩

地豆啄む
長袖寒し

赤飯と
巻繊汁の
誕生日
リボンの包
シャツと靴下

一葉の
戀愛日記
書肆の秋
レジの女性の
たおやかな声

百円の
酒饅頭の
山の店
珈琲沸かす
景信の午後

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