【2/猩々狂歌集/猩々】

26
ザリガニの
折り重なりて
水清く
水藻は揺れる
子エビは棲む

27
みそじすぎ
ろくなしごとも
なさざるを
にべなくこのよを
あは、しくはっく

28
ままにして
ひとにつくすは
にんじょうの
こころちがいの
こいもへんかな

29
なぞかけて
かんのんさまの
へこをとき
ごかいちょうとて
ももとせっつき

30
恋しても
小金井堤の
桜花
梅は遥かな
谷保の天満

31
マタタビの
兄貴分かと
思いける
キウイくわえし
猫よたりける

32
古株の
梢に鳴くは
秋の虫
十六夜月に
雲流れ行く

33
泡臭し
垢は溜りて
気に掛かる
秋津行き交う
多摩川縁に

34
臥して思ひ
起きてながむる
秋霖に
花の下紐
いかにかくさん

35
飛び飛びの
雨上がりの
道ならん
早秋風に
木の葉は染める

36
いちにっぱ
にごろごいちに
鳴く鳥の
ちんいつつもの
虎となりぬる

37
ふたえやえ
はにかみはなの
さきほころ
おてもてころげし
ふくみてたらん

38
甚平を
作務衣に替えて
飲む酒の
庭の隅にて
こおろぎは鳴く

39
花籠に
ツルボを入れて
野の露の
又摘むほどに
茂りてあらん

40
お布団の
暖ったかさが
気持ちいい
涼しさ増した
今日この頃は

41
雑踏の
靴音だけが
耳を打つ
路に臥すものよ
何ぞ夢見る

42
妙法寺
池の夜霧の
只中で
明日は朧と
君微笑まん

43
この空の
青さに溺れて
しまいそう
キャントンの裾
断ち切る君は

44
武蔵野の
木の葉は揺れて
言葉に成らず
幼き君は
頬濡らすだけ

45
ライターを
灯すマニキュア
とうせんぼ
町の明りは
瞬き消えて

46
嵐来て
奥に取り込む
植木鉢
枯れ朝顔の
実が惜しければ

47
なんとなく
気怠さだけが
残ってる
海水浴の
人影もなく

48
あの人の
どこが好きかと
尋ねれば
それが出来れば
評論かョと

49
しなちくの
よすかにあつかり
ちちらめん
なかなかつつく
このこまかけん

50
知ってます
貴方のことは
何もかも
それにつけても
かねのほしさよ

愛問答INDEX
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