猩々通信
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Yeah 1
 
2003 by 猩々
 
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仕事場は
アロハと団扇
盆休み
冷凍電車
灼熱の街

青空に
台風一過
蝉時雨
並木木漏れ日
空蝉の家

半額の
刺身に迷う
閉店時
美人の主婦と
譲り合う時

支那蕎麦に
故郷の夏の
汗の味
行列の店
批評家の僕

仕事場の
眠るパソコン
夏休み
嵐の知らせ
ほくそ笑む僕

天の川
異国に向う
飛行灯
ほら気を付けて
犬のウンチよ

懐メロは
お菓子のオマケ
ミニCD
仕事をよそに
聞き入っている

スーパーの
棚に縮んだ
鯨肉
終戦の日が
やって来る夏

熱帯夜
街に湧き出す
蝉の声
輾転反側
誤植する夢

乗合わす
電車の窓に
映る君
頬膨らます
ぺちゃんこの胸

馬追が
舌鼓する
夕暮の
味噌ラーメンの
げっぷ出る道

馬追が
舌打ちをする
帰り道
お前は誰だ
お前は何だ

フラメンコ
ロシア民謡
盆踊り
街の広場に
夕風は吹く

子は出掛け
君と二人の
独り酒
遠くで上がる
尺玉の音

蝦蟇の子に
人の悲鳴に
立ち竦む
夜の歩道の
僕とその犬

梅雨曇り
駅の蕎麦屋に
コルトレーン
痛む歯で噛む
コロッケの味

巣立ちする
駅のホールの
雨燕
笹の葉短冊
立ち食いの蕎麦

天蓋に
錦織りなす
天の川
腕に残る
君の温もり

じゃあ又ね
尾を一振りし
去ってゆく
ベランダの闇
パトカーの音

姦しく
律儀な音の
洗濯機
夜風が運ぶ
ご飯の匂い

夕涼み
君と一緒の
ベランダで
街の明かりを
眺めて居たね

抱き上げる
君の重さに
よろけそう
遊び疲れた
君の細い目

鳥は何処
髭尖がらせて
おちびちゃん
三界流転の
蜂須の上に

雑草の
生い茂る鉢
ベランダで
赤虎君と
遊ぶ夏の夜

草を食み
毛玉もろとも
吐き出して
さあ遊んでよ
夏の夜の君

糠漬を
油炒の
梅雨の朝
テレビのニュース
コナンの勇姿

雨の夜は
スタートレックで
野球なし
不貞腐れてる
蒼い目セブン

ポンと飛ぶ
紫の栓
馥郁し
踊る素麺
鳴く腹の虫

風戦ぐ
風船蔓の
路地裏に
尾を震わせて
君は見ていた

ニャオと鳴く
君に起こされ
丑三の
簾に映る
夏の月影

阿弗利加の
女王の星
走馬灯
夏の夜空に
青春の日々

稽古終え
枇杷を両手の

笑の零れる
少年剣士

青い空
梅雨の晴れ間の
昼下がり
簾に映る
長い尾の君

束の間の
白竜丸の
咲く花は
南十字に
想を馳て

手を合わせ
ご飯に向かって
有難う
命を貰って
僕等は生きる

濡れそぶる
無限記号の
犬の尾の
暗黒点に
吸い込まれそう

邪馬台の
夢を注釈
編纂子
白河夜船
窓を打つ雨

執拗な
蚊に起こされて
読む本に
梅雨の晴れ間の
白頭鳥の声

陽炎の
苺に隠る
ちちろ虫
君の旅立ち
巡り来る夏

巻貝の
殻の転げる
瀬々らぎの
蛍袋は
風に揺られて

雨靴は
紫陽花を蹴る
水溜り
並木通りは
蒸虫風呂の朝

古梅の
スープに泳ぐ
スパゲッティー
陰干の笊
鳩は目を剥く

威張り切る
人差し指の
小鍬形
紫陽花の咲く
夕霧の街

尾を立てて
靴に擦り寄る
斑の猫
抜け毛の罹る
雛罌粟の路

野宿覚悟と
帰りに聞いた
合歓の花咲く
桂川

双胴の
飛行機の飛ぶ
初夏の空
軒の庇の
鐔黒の雛

流れ星
金金金と
傍らの
長い黒髪
キャントンの君

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