山猿と 初日を拝む 高尾山 紅葉園台 霜の花叢 景信へ 導く猿の 冬肥り 初日を浴びて 安倍川を喰う 新調の 茶屋の親父の 登山靴 年始を兼ねた 猿の報告 初日見乍ら 甘酒交す 尾根に花咲く シモバシラ 町角で 雉と黒虎 睨み合う 早杉花粉 鼻を擽る 霞み立つ 遠くの富士の 見え隠れ カレー暖め 飯盒で喰う 吊り橋に 降り初む山の 細雪 団子になった 霜の花片 書初めは 顧客名簿の 古書の市 幾星霜が 横たわる春 焚付や 明日は成人 どんどの日 梅も綻ぶ 谷保の天神 綻ぶ梅に 御御籤結ぶ どんどが焦がす 恋心 山を降り 博物館の 土竜穴 一冊有余の パンフ集める 柚七味 山椒芥子と 目が移り 振袖姿 ケーブルの駅 ドトールで 貯めた吸殻 処分して 此処も振袖 山裾の駅 松も取れ サイト巡りは 糊代の 序に送る 三十一文字 三ッ塚の ポシェット一つ 冬の朝 牛の商人 哀れ守銭奴 鴬の 遊ぶ谷保駅 寒桜 見知らぬ人に 煙草の火を貸す デパートの 階段登り 山の店 霙の交じる 豆蒔の午後 街中の 瘤から瘤へ アルバイト 霙の中に パンダ佇 マドラーに 一息入れて 道化服 マジカマイムの 春風の街 梅の香に 春の麗の虫供養 手紙に包む 餓鬼の徒 鼻啜る 仕草に魅せる 幼き日 向いの席の 春の日溜り 健やかに 大きくなって 風来坊 恋鳴をする 黒虎のチビ コンビニで カンパニ買って 山の朝 春の寝坊助 杖を忘れる 山繭の 黄色が落ちる 春の山 金比羅登り 巡礼独り 鴬は 行く先々で 見え隠れ Aのポイント 崩落の路 蒼い眼の奴 顎擧げて チワッスと吼る 琵琶の滝 そら書けた 選者のマーク 朱々と 送り続ける 投稿の欄 そら書けぬ 選者のマーク 朱々と 歌誌の添削 高が知れてる 頬白の 番が遊ぶ 窓の外 ドトールの朝 鼻を噛む音 オーシャンと 名付けた鸚哥 洗い場で 水浴びをする 啓蟄の朝 水温む 金魚の浮かぶ 調和槽 油断めさるな チビ助来るぞ 猫の居た 日溜りに咲く 木瓜の花 揚々春は 移る往くかな 鴬の 山を降りれば 梅祭り 街には桜 綻び初めし 山茱萸 関所の跡の 梅祭り ペットボトルの 梅酢赤々 並木道 鶇は旅の 一休み 花の先触れ 駆け回る朝 中日の 漫ろ歩きに 花嵐 心も飛んで 霞む思い出 コンビニの 軒の新居の 翼黒の 飛び行く街に 花は舞散る 散る花に 盛か掛かで 迷う腹 優柔不断 O型の昼 大盛を 生冷でねと 厭な客 湯桶出す手 少し小刻み 道端に 携帯電話の 落ちる夜 花見追出 揺れる提灯 四畳半 ベランダ越の 花吹雪 積読本の 虫の這ずる 姿見の 池に花散る 恋ヶ窪 日影山では 山雀の啼く 禁煙の 蕎麦屋の前に 人の列 花見序の 酔狂な眺め 降り積もる 花を蹴散らす 犬連れて 宴も酣闌 シャベル持つ人 Tシャツの 大学名は 誇らしく 亜麻色の髪 花も恥じらう そば芳の 笊にぐらつく 歯を押え 飴を斬る様な 包丁の音 週末を 二度賑わして 花は散る ブランコ通り そば芳の笊 ユニクロの 安売りパーカー でか過ぎて 高目の物を 買う羽目になる オープンの 珈琲ショップの クーポン券 欅並木の 爽やかな声 ※4月1日別荘で ブン投げる 携帯電話 新緑の 如何に居わすか あらあらかしこ 新学期 少し夜桜 馬鹿騒ぎ 横目で睨む 歩くオバ連 花の散る 朝日に覚ふ 白昼夢 戸惑い乍 髭を剃る顔 行く春に 木馬が揺れる 飾り窓 中年の顔 胡蝶花の足元 尾長飛ぶ 花も残りの 並木道 山吹色の 朝風が吹く 携帯を 鼻啜り恙 まさぐる手 黒網タイツ 新緑の窓 読唇し 飛び乗って来た 異邦人 通勤快速 冷房入る |