猩々通信
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雪寄草2

2002 by 猩々

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ジュウニオイ
ボタンにシダレ
メイゲツと
ソメイヨシノは
葉桜フェステ

背君の
著書を薦める
老婦人
旅の思い出
フリマに竝ぶ

割箸を
客に始末の
小竹林
折って戻した
気に喰わぬ蕎麦

牡丹咲く
コンドミニアム
春の風
巨大マンション
新緑の中

春コート
腕に抱えて
昼の街
ミスドで食べる
粽の飲茶

花水木
団扇太鼓が
折り返す
駅へと向かう
ピッチが上がる

躙り寄る
鸚哥を高く
翳し上げ
壬生菜の湯飯
花冷えの朝

新緑に
ラジカセの音
武蔵野の
公益質屋
行きつ戻りつ

百円の
飯屋で頼む
珈琲を
テイクアウトす
ドトールのコップ

笋の
蕎麦を掻き込む
朝の駅
汁が点々
白いジャケット

化粧直して
携帯開き
ペットボトルを
飲む女

飛魚の
骨抜乍
飲む酒と
TVの蹴球
忙しい夜

耶悉茗の
花の垣根で
黒虎と
雨雲見上げ
欠伸する午後

製麺の
箱も吹っ飛ぶ
天狗風
仏頂面の
中華屋の主

ぶっ玉消
冷し狸の
豪華版
ぶっ掛け蕎麦の
立身出世

皿蕎麦は
猪口に着く間に
ちょん切れて
百円飯屋
梧鼠の逸品

皋咲く
飲茶の店の
待ち惚け
ヘリの旋回
曇拠の空

十時待
ドトールの店
空っ腹
窓は葉桜
鴨脚の端葉

無印の
パンツを買って
雨の中
歩く同輩
交わす挨拶

洋花に
揚羽の止まる
雨上がり
御かかの乗った
力蕎麦喰う

新人が
不細工に乗る
朝電車
不動だったり
蹌踉けてみたり

ジャケットを
綺麗に畳み
デバックへ
ロン毛迷パン
緑い目を剥く

作務衣着て
燭台磨く
寺の縁
にょっきり伸びた
道端の筍

啄木鳥の
音谺する
城の跡
さあ登るぞと
ズボン引き上げ

宝鐸と
稚児百合の咲く
山の尾根
一年経った
山の坂道

一服の
尾根の山道
花筵
引っ切り無しに
鶯の声

木苺の
未熟を思わず
頬張れば
次から次と
喰意地の口

踏み締める
独鈷の峰に
杖の跡
落葉を被る
寒葵の花

熊ん蜂
関板峠で
リタイヤし
ストーブ出して
ラーメンを煮る

摺指の
豆腐は既に
売り切れて
とぼとぼ歩く
山里の路

噛み殺す
山の帰りの
生欠伸
向いの美人
脚組み替えす

赤虎は
ベランダ越しに
覗き見て
初夏はもう直
鸚哥囀る

子供等は
半裸になって
水遊び
話続ける
アンとミッシェル

多摩川の
彼方と離れ
独り聳つ
浅間山に
黄菅花咲く

霊園に
狛犬を見て
通り抜け
浅間山に
筋雲懸かる

正午晴
自動梵鐘
永福寺
もしもし話す
メリケンキッド

公園の
タンクトップの
スケーター
バーベキューの
煙棚引く

枯れ水の
野川の空に
鯉幟
行蟹捕りの
尾骨出す親

連休の
谷間の朝の
並木道
鷽鳥は啼く
強張った脚

薬味入
砦で囲む
糠胡瓜
醤油ではぐす
鸚哥の飛来

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