セラミュそしてベビメタ

  ベビメタの海外コンサートは盛況裡で、今や世界的人気グループ。ユーチューブには「ファンはオジサン」が多いとか。ヘビーメタルが、ポップが、アイドルが……云々では、この人気は説明がつかないと思います。
  日本では、学習雑誌が文庫本版のSFを付録にしたこともあり、一般には其の辺りからSFファンが生れ、其の人達が後にファンジンを作りファンダムを成し、やがて派生的にコミックマーケット等が生じ、SFコンベンションが行われるようになりました。パロディーも盛んで、例えば、同人誌等に人形劇台本「ゲロ戦記」等が書かれ笑いました。そう、ポケベルもパソコン通信も無かった頃の事です。
  彼らは逸早く、一つの物語が様々な媒体に変貌し拡散する事を見出しました。立派な同人誌を発行する者もあれば、ハガジン(葉書での作品・通信)、ぺら物会報だけの同人会も。会合も盛んになり、会合だけのファンダムも。原作を漫画化したり、関連のグッズを蒐集したり、初期のゲームブック所謂RPGなども作られ、ヲタクが生まれました。小説や漫画が、アニメや実写TV、舞台上演と発展していくことも、なんら不思議ではありませんでした。そう、漫画やTVで変身物・戦隊物が隆盛し、実写のTV「イパネマ」「ポアトリン」が登場し、武内直子は「セーラーV」「セーラームーン」の漫画連載を始めます。
  余談ですが、セーラーVの物語の背景と現実とは少々時間にズレがあります。冒頭のパンを咥えて柵を飛び越える描写で愛野美奈子はスカートを翻しシュミーズ (スリップ)を覗かせています。都会では此の頃ブラウスの肩に2本づつ下着の線を見る事は稀有でした。
  閑話休題。演劇は芸術の極地と言われます。ミュージカルはその最たる物でしょう。歌って踊って芝居をするのですから。「セーラームーン」の功績は、優れた物語は、形態・形式を越えて成長・発展するものだと、世界に知らしめた事です。漫画からセル動画、ミュージカルそしてTV実写。お菓子からPCゲームまで「セーラームーン」キャラクターが溢れました。ミュージカル会場は一見コスプレ会場かと思われる程、幼児から「おっきなお友達」までコスプレをした観客が溢れました。国内外コスプレが定着したのも此の頃です。
  ポケベルが携帯になり、パソコン通信がインターネットになり、パソコン通信で花開いたデジタル版の同人誌やファンジンがホームページとなりました。人々の情報交換や意思の疎通も易々と行え、明るいヲタクが増えました。「セラミュー」も現在ではDVDで入手、低料金でレンタル出来ます。インターネットでは、一時、「セーラームーン」の映像やゲームで溢れていました。これは、元の創作された世界観がしっかりしていて物語が感動的であれば、一つの文化に成り得るという実証でもありました。
  ベビメタの場合は冒頭でも触れましたが、オジサンに限らず「ジャカジャカ・ドカドカな音楽」を背後に「可憐な少女が飛び跳ね廻って」が魅力の一つでしょう。少なくとも元気を貰えそうな気がして来ます。海外では「オリエンタル・神秘的な」が加わると思います。「ジャカジャカ・ドカドカ」がなければ、「きゃりー」や「ももクロ」や「仮面女子」と然程かわりません。
  また、ヘビメタと激しい踊りと歌声とが相乗して、とは言い切れません。「短歌」などと同じように、一種の「オムニバス・連作」と捕らえれば理解できると思います。インターネットの利便性の一つで、彼女たちの過去(一種の作品)を、現在を一連のオムニバス作品として見る事が出来ます。初見し興味を持ち、過去の作品を知る事が出来る。ユーチューブなどで其の都度の作品を何度も何度も垣間見る事ができ(本来のインターネットの理想ですね)。彼女たちをビジュアルな物語・作品として捕らえる事が出来たと言う事でしょう。
  とはいえ彼女たちの物語は「執筆中」で、それも年齢と共に舞台が変わる事が確実です。ポニーテールやツインテールを早晩解く時が訪れます。でも、その後の展開が楽しみと言えば楽しみです。
  ヘビメタ・セラミューの「スターファイター」を観て見たい。「きゃりー」「ももクロ」「仮面女子」共演、こんな舞台は夢でしょうか。

(201606291051Wed)
(201606260246Sun)
猩々通信